平成30年4月14日にカレッジプラザを会場として,子どものプログラミング教育に関する情報交換を開催しました.学校,企業,個人のそれぞれの立場で活動されている方に活動を紹介していただき,お互いの強みや弱みを確認し,協力できる体制の確立を目指しています.34名の方にお集まり,有意義な議論を行うことができました.
初めに主催者として秋田県立大の廣田千明氏が本情報交換会の趣旨を説明しました.最近になり秋田県内でも子どものプログラミング教室が開催されるようになりましたが,秋田県のどの地域の子どももプログラミング教育を受ける機会を提供できているかどうか,プログラミング教育における様々な分野を網羅できているかどうか,個人でボランティアとしてプログラミング教室を実施している方は今後もずっと活動を維持していけるかどうかといった点で不安な面があるため,子どものプログラミング教育の活動をしている方を集め,情報交換会を開催し,相互に協力できる環境を構築し,秋田県の子どものプログラミング教育を発展させることを目的として情報交換会を企画したとの説明がありました.
続いて,大学での取り組みとして,秋田県立大学システム科学技術学部の橋浦康一郎先生と石井雅樹先生にご講演いただきました.橋浦先生からは小学生向けの科学教室の一部としてプログラミング教室を実施したこと,天王小学校からの依頼で5年生を対象としたプログラミング教室を開催したことが説明されました.これらの教室では,ツールとして,プログラミン,Scratch,micro:bitを用いているとの説明がありました.石井先生のご講演ではLEGO Mindstormsを用いたロボットの大会であるWorld Robot Olympiad(WRO)の活動が紹介されました.活動を始めたきっかけは,理科離れを題材としたシンポジウムに参加したことで,工学=創造する喜びを体験することが重要であると考え,ロボットを題材とした活動を立ち上げることとなったとのことです.
大学の取り組みの発表のあとは,企業の取り組みとして,株式会社アイネックスの相場清人氏と株式会社エスツーの浅野加奈氏にそれぞれ取り組みをご紹介いただきました.相場氏からは教育委員会や学童保育などからの依頼で実施した子ども向けプログラミング教室,小学校の教員向けのプログラミング研修についてご報告いただきました.プログラミング教室ではScratchを用いて,竿燈まつりを題材としたゲーム作りをしていて,子どもたちの中には,単に与えられた内容を学習するだけでなく,得点表示の機能を追加するなど,自主的にプログラムを拡張する子どももいるとのことでした.エスツーの浅野氏からはハックアカデミーという子どもの向けのプログラミング教室やITリテラシーを教える教室についてご紹介いただきました.
続いて,学校教員の活動として,仁賀保高校の小西一幸先生,能代市子ども館/能代市教育委員会の中川博子先生の取り組みをご紹介いただきました.小西先生は仁賀保高校情報メディア科の生徒に対して,Scratchを教えており,高校生が小学生にプログラムを教えるような仕組みを作ろうとしているとのことでした.中川先生の活動は大きく分けて2つあり,1つは教育委員会として小学校の教員向けの研修を行っていることで,もう1つは子ども館として,子ども向けプログラミング講座(1講座約2時間)を開催しているとのことでした.先生向けの研修では,やってみると意外に楽しいという感想が聞かれ,非常に盛り上がるとのことです.今年度の活動は,2020年の小学校におけるプログラミング教育の必修化に向けて,まずは能代市内の先生にプログラミング教育がどんなものかを教えることを目標としており,2018~19年度の2年間で能代市内の全ての小学校で研修会を開催する予定であるとのことです.
最後に,ボランティアの立場から,Coder Dojo 秋田の森下裕介氏,Coder Dojo 増田の小坂将人氏に活動の紹介をしていただきました.お二人ともCoder Dojoとして活動しており,森下氏から全世界的な活動であるCoder Dojoの活動理念や活動内容について説明がありました.小坂氏からは情報交換会当日の午前中に第1回目の道場を開催したことが説明されました.
今回の情報交換会はそれほど,大々的に宣伝しなかったのですが,予想を超える34名の方にお集まりいただき,大変有意義な議論を行うことができました.今回お集まりいただいた方を中心にして,秋田県子どもプログラミング教育研究会(仮称)を設立し,秋田県の子どものプログラミング教育を推進していきたいと考えています.
なお,当日の様子は,秋田県立大学のページにも紹介されています.